パーマカルチャー (Permaculture) の10の基本原則


パーマカルチャーデザインの要といえるのが、この「10の基本原則」です。
現在では、パーマカルチャーの40年近くの拡がりの中で検証され、人や本によって内容やまとめ方に違いがみられます。ここでは「パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン」に沿って、私にできる限り簡潔に判りやすくまとめました。


◆ T.各要素の配置は相互関連的にする(=デザインとは関連性である)

  パーマカルチャーデザインをする事は、物と物の「つながり」を考える事だともいえます。
具体的には、

  1. その物が必要とし取り込む物/インプットと生産したり排出したりする物(アウトプット)および、固有の特性を分析する
  2. 周辺の要素とのインプットとアウトプットのやりとりや、特性による関連付けを考える。
  3. 適材適所で効率良く求める機能を果たせるように配置する。
と言う順序で、デザインを考えます。

図1A : 構成要素の分析(ニワトリの分析)
パーマカルチャー10の原則T:構成要素の分析(ニワトリの分析)

 

図1B : 物と物が助け合う配置(家と庭とニワトリ)
物と物が助け合う配置(家と庭とニワトリ)

 

 

◆ U.一つの要素が多くの機能を果たせるようにする(多機能性)

  これは、「一石二鳥」以上を狙ってデザインせよ、と言う事です。
  たとえば下の図のように、道と道の境にブロック塀を立てれば、プライバシーの保護と風を防ぐ役には立ちます。
  しかし、それを生垣にすれば、緑陰が作れ、木の実や小果樹が採れ、野生動物の棲家にもなり、枯葉や小枝が燃料や家畜の餌、畑の肥料やマルチ材にもなり、見た目にも美しい、と様々な機能が果たせます。
  もちろんそのためには、自分が望んでいる機能(風通し、鶏の餌、景観の美しさ等によって、植えるべき植物の特性(高さ、常緑樹か落葉樹か、どんな花が咲くのか、食べられる実がなるのか)を知っていなくてはなりません。

図2 : 生垣とブロック塀の比較
パーマカルチャー10の原則U:多機能性(生垣とブロック塀の比較)

 

 

◆ V.重要機能は複数の方法で充たす(=多重バックアップ)

  私達の暮らしを支える基本的な要素、水、食べ物、エネルギーなどは、一つのルートからしか手に入れられないのは危険です。多様なバックアップを用意して、リスクを分散させることが重要です。
  日本の大多数の人は水は水道水、食べ物はスーパーから、エネルギーはガス会社と電力会社から買っているでしょう。しかし、ひとたび災害等で供給が停まれば大変なことになるのは、東日本震災以降、多くの人が自覚されていると思います。
  食べ物は直接農家から買ったり、直売市を利用すると、顔の見える関係ができます。水は可能なら井戸や雨水を利用する、オール電化住宅は危険なので、熱源はガスにし、卓上コンロ用のボンベも備蓄するなどの工夫ができます。独立電源としてのソーラーパネルを設置するのもよいと思います。

図3 : 水とエネルギー供給のバックアップ
水とエネルギー供給のバックアップ

 

 

◆ W.効率的な活動エネルギー計画を立てる

  1.ゾーン(区域)、2.セクター(扇状の領域)、3.スロープ(傾斜)3つのアプローチで、敷地の条件を分析します。

  1.  ゾーンプラン  

    活動の中心(ゾーン0:主に住宅)からの使用頻度によって、各要素を配置する。
    一日に何度も行くところ(例:自給用の畑、鶏小屋など)は一番近くに配置、
    一年に数度と言うような所(例:森や林など)は一番遠くに配置するのが基本。

図4A:ゾーンプランニング
図4A:ゾーンプランニング

    

  2.  セクタープラン  

    外部から敷地に流入してくる自然のエネルギー(日照・風・水など)や周辺の条件(景観・地形など)の角度や範囲を描いた図を作って把握する。そして、積極的に取り入れたり、遮蔽、誘導したりとコントロールする。例えば、夏の季節風の方向は開けて風通し良くしたり、冬の冷たい季節風は防風林で遮蔽したり、望ましくない景色は目隠しをしたりします。

図4B:セクタープラン
パーマカルチャー10の原則のW-2:セクタープラン

    

  3.  スロープ  

    計画地の等高線、断面をチェックし、傾斜や凸凹を知る。水は低きに流れ、風とそれに伴う霧なども斜面に沿って上下する事が多いので、それらを利用し、又対策を講じる。例えば、配水システムを考えるときは貯水タンクは家よりも高い所に置けば、エネルギーを使わず重力で配水できる。
    敷地内だけでなく、周辺の地形の中でどのような位置に計画地があるのかを把握する。例えば、雨と急傾斜地の多い日本では、大雨に際しての排水、がけ崩れなどの危険性をチェックし、それに対応できるデザインを考える。

図4C:スロープ
パーマカルチャー10の原則のWの3:スロープの利用

 

 

◆ X.生物資源(動物や植物)の活用

    生物資源の利用は、石油エネルギーや人的エネルギーを節約し、動物や植物のエネルギーを再利用し循環させ、永続可能なシステムを作るカギとなる。
    下の図にあるように、鶏を畑の肥料・草刈・害虫防除に利用する「チキントラクター」と呼ばれるシステムはその代表的なものであるが、羊や山羊、牛も草刈りをやってくれ肥料としての糞も提供してくれる。他にも、窒素肥料の代わりのマメ科の植物、農薬の代わりにコンパニオンプランツの利用等がある。

図5:生物資源の活用の例、チキントラクター
パーマカルチャー10の原則のX:生物資源の活用の例、チキントラクター

 

 

 

 

    これ以下はただ今準備中です。もうしばらくお待ちください。 m(_ _)m

    

◆ Y.エネルギーと物質の循環

 

図6:水の循環の例
水の循環

 

 

◆ Z.小規模集約システム

 

図7:大規模単一栽培と小規模集約システムの比較
大規模単一栽培と小規模集約システムの比較

 

 

◆ [.植物遷移の利用

 

図8:.植物遷移の利用

 

 

◆ \.多様性のあるシステム

 

図9:多様性のあるシステムの例/アグロフォレストリー
多様性のあるシステムの例、アグロフォレストリー

 

 

◆ ].接縁効果の利用

 

図10:接縁効果の利用の例/チナンパシステム
接縁効果の利用の例:チナンパシステム

 

 



土を肥やすマメ科の花を植える。ミカンの根元にはクラウンベッチ。
マメ科の花、クラウンベッチ
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